高架下

すずろに書くよ

ゾット帝国あらすじ&感想その1

久々の更新になりました。今回自粛期間中にあまりにやることがなかったので、まだ履修していなかったsyamuさんのなろう小説「ゾット帝国騎士団カイトがゆく!~人を守る剣の受け継がれる思い~」を読み始めました。突っこみどころ満載ながら、その文章の読みにくさ故、せっかくなので共有しようと思ってこの記事を書きます。

原文はこちらから→https://ncode.syosetu.com/n1830fe/2/

引用も同ページからさせていただきました。その2はこちら

「禁断の森へ」感想

「オレは禁断の森の奥、獣道で三匹の狼の様な魔物に追いかけられていた。

 オレの鼓動は高鳴り、冷や汗を背中に掻き、息を切らして魔物に振り返る。

 魔物は身体中から暗黒のオーラを放ち、紅く鋭い眼光に吸い込まれそうだ。

 魔物は荒い息を上げて低く唸り、涎を垂らしながら、鋭い牙を覗かせ吠えて走ってくる。」

という書き出しです。なかなか面白みのある始まり方だなと感じました。私自身がこういった種の文章をまったく読まないので実のところはわかりませんが、一人称視点でいきなり始まるのは珍しいし面白いと思います。その後、このように続きます。

「舗装されてないので足元がかなり悪く、雨が降ったのか大小の水溜りが出来ている。

 オレは前を向いてないので、前方不注意で盛大に水溜りを踏んだらしく、派手な水飛沫が飛び散る。

 おかげでスニーカーが濡れ、靴下までも濡れて気持ち悪い。スニーカーが泥だらけだ。

 おまけに水溜りを踏んだせいで、足を持っていかれ危うくこけそうになる。」

ここまで読んでみて「案外引き込まれる文だな」というのが率直な感想です。状況や情景がたやすく目に浮かびます。さらっと主人公の服装にも触れているのはうまいと感じました。筆者は後方確認してもキャラは前方不注意なのか。この後もうまく主人公カイトの服装について述べていたり、緊迫した状況を読み手に感じさせたりと想像よりずっと質の高い文たちと出会えます。

ですが。すこし読み進めると衝撃の事実が判明します。実は主人公カイト、11歳でした。これも何気に書いてありました。この設定かなり攻めたなあと思うんですがどうなんでしょう、11歳って正直何もできなくないですか?私が11歳のときっておやつとかで駄々こねている時期でした。その後幼馴染が登場します。

「 その時、オレの左隣を走っていた幼馴染のネロが右手を伸ばしてオレの胸を支えてくれる。

 ネロは黒いハットを斜めに被り、整った目鼻立ちで黒縁メガネ。左耳にピアス。

 服は白いシャツに黒いジャケットを羽織り、左手の小指と中指に指輪を嵌め、右手首にブレスレット。下はデニムパンツにスニーカーを履いている。

 ネロはモデル並みの美形で女の子は黙っていない。

 幼馴染のミサでさえ、ネロを独り占めにしている。」

2人幼馴染が出てきました。これが主人公一行です。もちろん全員11歳です。ネロの見た目は普通に紹介しましたね。異世界では割とポピュラーな外見なんでしょうか、当時のメジャーだったんでしょうか、私がそちらに明るくないので置いときます。

 

「 その時、ネロの左耳に装着しているインカムに、幼馴染のミサから無線が入る。

 「ネロ、どうする? 囲まれちゃったわよ?」

 ネロのインカム越しから、ノイズ交じりで幼馴染のミサの暢気な声が聞こえる。

 

 ミサはホバーボードで禁断の森の偵察に行ったままだったが、やっとミサから無線が入る。」

このあたりから雲行きが怪しくなってきます。原文を読んでいると、何となく読みにくいな、と感じるのですが、その最大の理由は代名詞と指示語がない」、この1点に尽きるでしょう。少ないとかでなく本当にないんです。気になった方はこの事実を意識しながら是非原文を読みに行ってみて下さい。

第1話はこんな感じで終わります。魔物から逃げながら主要3キャラの紹介って流れです。なので物語自体はまったく進行していません。

まとめ

動画でのsyamuっぷりを見てしまっていたのでかなり身構えていたのですが、案外読める文章でした。代名詞問題は作品としては置いてといて彼が垣間見えてよかったですね。このさきずっと一人称だけで進めていくのでしょうか、不便ではないかなぁと一抹の不安を残したまま読んでいきます。

短いですが今回はこれでおわりになります。